1997年頃の僕にとって、一番簡単なことはCDを出し続けることでした。その頃の僕はとても人気があったし、レコード会社も周りのスタッフも今思うととてもしっかりしていてセッティングが整っていました。だから、そのまま10枚ぐらいまぁまぁのアルバムを出したり、他の人をプロデュースすることは一番楽にできることでした。続けるというのは、時には一番簡単だったりします。結婚生活も、ただ続けるのが一番簡単だから続けているというカップルもいます。
当時の僕は自分がやっていることを知れば知るほど、これはこのまま続けてはいけないと言うか、続けなくてもいいことなのかなと思うようになりました。誤解が無いように言っておくと、続けてCDを出しているミュージシャンはとても尊敬しています。でも、僕自身が何をすればいいかというと、それは続けることではありませんでした。でも、音楽が嫌になったから止めたというようなことはありません。むしろ、音楽がとても好きなので続けなくなったという方が当たっています。
クラシック音楽の曲で、ピアニストがピアノの前に座って、ピアノを開けて、でもピアノを弾かないで4分33秒の間、静かに座っているという曲があります(注:ジョン・ケージ作曲)。僕の場合もそんな感じがあります。4分33秒ではなくて十数年になるのですが、僕と音楽の関係はピアノを開けて弾かないで座っているピアニストとちょっと似ているのかもしれません。
でも、ここでひとつ音を鳴らしてみます。ひとつではなくて、怒涛のように3枚組で鳴らしています。ただのライブじゃん、昔の曲じゃん、と思うかもしれないのですが、それは聞いていただいてどいうものか感じていただけたらと思います。
このライブ盤はものすごくアガります。危険なぐらいアガるものです。それを可能にしてくれた、演奏してくれたみんな、スタッフのみんな、そして、勇気と刺激を与えてくれた友人のみんなに心から感謝してます。
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